第13章・大本営〜ドンピシャ          
平成22年 3月 23日          
 コンテナは空の自重だけで2トン近くあり、その中に積荷を満載したのを5〜6段積み上げ、 しかも船で横揺れしても潰れない。
“100人乗っても大丈夫”どころではない。
 桁はずれの強度を誇るのだ。
 海運の過酷な状況から荷物を護るための箱は、平地に置いて人間を護る程度は造作もないだろう。
 無骨な見てくれも加工は自由だし、建築法の縛りがキツイにしても、考え方次第で可能性は広い。

「もっと再利用価値あるのにねぇ」
 長坂さんは残念そうに呟いた。
「宣伝しないからじゃないスか?俺も酔狂な良樹が教えてくれなきゃ、 考えもしなかっし、そもそもどこで買えるのかもわかんないスから」
「そんなもんかな」
 苦笑いをする長坂さんと“広告業界”
 対極にあるような気がした。  

 置いて見れば、コンテナ角と基礎コンクリートは、1pのズレもなかった。
 何もなかった地面の上に、あらためて驚嘆すべき奥田さんの基礎精度。
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