第12章・内装〜階段          
平成22年 3月 8日          
 軽やかに二階に上がれるようになった。
 九町さんがささやかに自慢していた通りの、木目鮮やかな無垢板である。
 下足箱が2階にある以上、この階段は土足通過になる予定だが、見る人が漏れなく
「土足で乗るの、なんだか勿体無えんじゃねえの」
 などと言うもんだから、意志の弱い俺は困惑している。
 下で靴脱いで、ぶらさげて階段上がるのも、なんだかなぁ。

 狙いかどうかは知らないが、微かにギシギシと木の軋む音が、俺はたいそう気に入っている。
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