第10章・内部工事〜ランラン          
平成22年 2月 8日          
 ユウに「圧着達磨くれ」と頼んだら
「何じゃそれ」と怪訝な顔をされた。
「電線繋ぐんだがや、圧着で」
「今時そんなもの使ってねえぞ。これ持ってけ」

 俺の中では、電線の結線工法は半田付けから圧着に進化した時点で停滞していた。
 いつの間にか、端末を差し込むだけの簡便な電材が開発されていたのだ。
 あらゆる方面で俺は取り残されている。

「別にどっちでもいいけど、普通は黒いほうにスイッチを通すもんだ。 LANの端末は専用工具が要るから、その時また声かけろ。やってやるから」
「階段灯を上と下で点けたり消したりするのは、どうやったらええの?」
「3芯ケーブル通して3路スイッチ付けるんだわさ」
「そんなんがあるんか」
「4路もあるぜ。ま、お前が使うこたぁねえだろうけどな。へへ〜ん」
 電気については恐らく初歩的なことをいろいろ教えて貰ううちに、次第にユウが反り返っていくのが判った。
 でも、3路の結線を考えるだけで悩む俺だから仕方ないのだ。

 電気配線と同時に、テレビケーブル、電話線、そしてLANケーブルの配線も同時に行なう。
 夫々、専用の線があり、青いのが“LAN”。白いのが“電話”
 嗚呼、ややこしい。
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