第9章・設備工事〜悪夢の一撃          
平成22年 2月 7日          
 無計画に配線しているから、自分でやりながらさっき配線した箇所を一時間後には忘れている。

 ここいら辺りに通せばいいかと、壁下に景気よくドリルで穴を開けたら、その裏側にいつの間にか付けた電線が走っていて、 見事にその電線のど真ん中をブチ抜いた。

 それがまた悪いことに長尺配線の中央部あたりで、しかも素人の浅はかさで前後をステップルでガンガンに固定してあるから救われない。
 繋いじまおうかという誘惑はあった。
 しかし、自分の家の新築工事で職人さんたちは丁寧に造り上げてくれているのに、 こんなところでてめえ自身が安易に妥協してどうすると奮起し、全部外して一から張り直したのである。

 少しだけ、俺も大人になったようだ。

山田さんに「よくわからない所は電線留めずにブラ下げておいて」と言われたにも拘らず、梁の迂回を“綺麗じゃん”と自己満足でステップルで留めてしまった。
これが後で天井貼りの邪魔になり、山田さんが全部外してやり直してくれることになる。
あらためて叫ぼう。
「俺は最低の施主だぁ!」
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