第5章・基礎〜基礎コン          
平成21年 12月 29日          
 抜けるような青空である。

 連日、店に出る前に現場に寄るから、早くても午前10時ごろになる。
 来た時には、生コン車と、何て呼ぶのか知らないホースを伸ばした車が並び、7〜8人の作業員の手で 作業は既に大詰めを迎えていた。

 俺は、傍らで作業を見守っている基礎職人の奥田さんに、にじり寄って行った。
「早いんすね」
「朝8時前からやってます」
「生コンは早朝がいいとか、そういうのがあるの?」
「いえいえ、単に生コン屋の都合ですよ。今日で仕事収めらしいから、早く片付けて帰りたいんでしょ」
「なるほど」

 気がつけば、今年もあと3日で終わる。

車道のミキサー車から、そこより低い基礎にコンクリートを流し込むのに、何故わざわざ空高くホースを通過させるんだろうと、 疑問に思ったけど、別に尋ねるほどでもなかった。
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